CASE STUDY

業界:航空宇宙製造
製品:5 MPおよび20 MP Tritonカメラ(IP67対応筐体)
SDK:Cognex Vision Library

Tritonカメラを活用した高精度ドリル測定ビジョンシステム

産業用ロボットは多くの業界で広く導入されており、先進的な製造システムの象徴とも言えますが、航空宇宙分野においては現在でも多くの工程が熟練作業者の手作業に頼っています。こうした分野におけるロボット導入の大きな障壁の一つが精度不足でした。しかし、近年の技術進化により、航空宇宙業界における柔軟な自動化の導入は今後大きく加速すると見られています。

課題

航空機の組み立て工程では、自動化されていない作業が多く、熟練工による手動操作に依存しているのが現状です。特に複雑な形状を持つドリルの精密測定は、高精度かつ再現性が求められる難易度の高い作業です。スペインに拠点を置く産業自動化のエンジニアリング企業NUTAI社は、この課題に取り組み、手動操作と自動操作の両方に対応可能な協働ロボットビジョンシステムを開発しました。

ドリル形状の複雑さに加え、周囲光の制御、ノイズ・EMI・振動などの産業環境特有の影響、そして8ミクロンの解像度といった高度な要求にも対応する必要がありました。

航空機の組立工程では多くの製造プロセスが自動化されていませんが、技術の進化により、自動化はより高精度で信頼性の高いものへと進化しています。

NUTAI社の高度なビジョンシステムは、正確なドリル測定を実現。LUCID製高解像度産業用カメラにより、測定の速度・精度・再現性が向上しました。

解決策

NUTAI社のビジョンシステムには、LUCID製 Triton GigE PoEカメラ(産業用グレード)4台が採用され、スペインにおけるLUCID正規代理店ClearView Imaging S.Lを通じて導入されました。 測定対象であるドリルの先端には、2台のカメラが正面から配置され、ドリルの長さ測定用には側面から2台のカメラを垂直方向に配置しています。

ドリル先端の測定には、Sony製IMX183 CMOSセンサーを搭載した20 MPのTriton TRI200S-MCカメラ(5472×3648 px、6 fps、FOV 49.22×32.82 mm、光学分解能 8 µm/pixel)を2台使用。測定対象との位置関係による歪みを抑えるため、バイテレセントリックレンズが組み合わされています。

作業者の関与は最小限で、ドリルを治具に設置しボタンを押すだけで繰り返し測定が可能になります。

長さ測定用には、Sony製IMX264 CMOSセンサーを搭載した5 MPのTriton TRI050S-MCカメラ(2448×2048 px、24 fps、FOV 48.8×40.82 mm、光学分解能 20 µm/pixel)を2台採用。これらのカメラは、Cognex Designer Vision Libraryを用いて露光時間やトリガーモードの制御が可能であり、カメラのデジタル出力から照明システムも同期制御されています。

センサーのフォトン転送曲線を考慮し、緑色LED照明が選定されました。工場環境の外光の影響を防ぐため、Cマウントカメラ内にバンドパスグリーンフィルターを挿入。光学レンズとセンサーの間に設置することで、システム全体のクリーンな統合が実現されています。キャリブレーションには、4ミクロン以下の分解能を持つガラス製キャリブレーションプレートが使用されました。

TritonカメラはGigE PoE対応、かつIP67準拠で産業用途に最適です。

結論

高精度ドリリングや高精度ロボットの導入により、航空・宇宙分野において柔軟で効率的な自動生産システムが実現されつつあります。人とロボットが近接して作業できる環境や、多様で複雑な作業パターンを効率的に処理する技術も進化しています。LUCID製の高解像度・産業用グレードのカメラ技術は、測定の速度・精度・再現性といった重要要素をすべて満たし、サブピクセル精度で1秒以内に安定した結果を提供可能です。作業者はドリルを治具にセットし、ボタンを押すだけで測定が行え、結果は画面に表示され、保存されることで、繰り返し測定にも対応します。

ビジョンシステムは2つのプラットフォームに分かれており、左側(青)はテーブル固定型、右側(赤)は可動型です。この柔軟な構成により、さまざまな長さのドリルに対応可能です。

NUTAIによる高精度ドリル測定ビジョンシステムの最新動画をご覧ください。