ケーススタディ
業界:農業
製品:IP67対応 Tritonカメラ
SDK:Arena SDKを活用したカスタムソフトウェア
土壌中の岩を除去する自動ビジョン制御システム
過去10年にわたり、農業およびスマートファーミングにおいて自動化の重要性はますます高まっています。スマートセンシング、機械学習、ロボティクスといった先進技術の活用により、多様な農作業プロセスが革新的に最適化されています。
TerraClear社は、農業の効率化と生産性向上をミッションとし、「岩の除去」に特化したエンドツーエンドの自動化システムを開発しています。コンピュータビジョン制御システムによって地形をマッピングし、土中に埋まっている岩の位置とサイズを特定。重作業は自動化された機械が行うことで、農家の時間とコストを大幅に削減できます。
課題
農家は毎年、耕起、凍結融解、気象条件などの影響で発生する岩の除去作業に直面します。岩を適切に処理しなければ、農機具の破損につながり、高額な修理費用や、成長期の最も重要なタイミングにおける大幅な遅延の原因となります。この作業は、時間がかかり、肉体的に過酷で、精神的にも大きな負担となるため、多くの農家が「やるべき」と思いつつ、実際には後回しにされがちです。さらに、農場の大規模化と労働力不足が進行する中、単純作業の自動化ニーズはますます高まっています。
現在の一般的な岩除去方法は、土壌を掘り起こす機械式ロックピッカーか、ローラーで岩を地面に押し戻すというものです。機械式は一定の効果はありますが非常に遅く、特定の土壌条件でしか使用できません。そのため、多くの農家は手作業(トラクターやスキッドステアの横を歩いて手で岩を拾う)か、ローラーによる圧縮処理を行っています。ローリングは効率的ですが、土壌によっては圧密化を引き起こし、小さな岩しか対象にできません。
解決策
TerraClear社は、空中マッピングと地上での自動ピッキングを組み合わせたロッククリアランスソリューションを開発しました。まず、ドローンが高度なセンサー、GPS、そして学習済みのニューラルネットワークを用いたコンピュータビジョンにより、岩の位置とサイズを正確にマッピングします。次に、人が運転するトラクターまたはスキッドステアに取り付けられた油圧制御の実装装置が、マップに基づいた最適ルートを走行しながら、搭載されたビジョンシステムによって岩を自動で識別し、バケット内に回収します。
このシステムには、LUCID製の2.3 MP Triton GigE PoEカメラが複数使用されており、高解像度の画像は、ニューラルネットワークの高精度な学習、空撮画像からの岩の識別、そしてピッキングロボットによるリアルタイム認識といった3つの主要な用途に活用されています。TerraClearによれば、空中プラットフォームや可動式機械に搭載するためには、カメラはコンパクトで軽量、かつ省電力であることが求められます。これらのカメラは畑を移動するトラクターの前方に設置され、進行方向の岩をリアルタイムで認識します。これは本ソリューションにおける重要なステップです。
IP対応の筐体とM12/M8コネクタにより、Tritonカメラは屋外での使用に最適であり、トラクターやスキッドステアが土壌を走行する中でも外部環境に耐えることができます。また、Tritonの耐衝撃・耐振動性能により、農機上でも安定した動作が可能です。ピッカーが岩を確実に認識・除去するためには、高品質な画像と高フレームレートのGigEビデオによる精度の高い物体追跡が必要です。LUCIDのアクティブセンサーアライメント技術は、対象物の高精度な識別と追跡を実現します。さらに、Arena SDKと技術サポートに関するTerraClearの評価も、プロトタイピング初期段階で非常に好意的なものでした。
結論
TerraClearのロッククリアランスソリューションは、農地の岩を効率的かつ低コストで除去する手段を提供し、高い確率で岩が検出・除去されたという安心感を農家にもたらします。これにより、機器の損傷や作業停止といったリスクを大幅に削減し、農業における生産性と信頼性の向上に寄与します。