ケーススタディ

業種:製造
製品:Triton 3.2 MPカメラ
用途:検査
SDK:カスタム画像認識AIシステム

AIビジョンシステムがコンクリート舗装材の欠陥を検査

インターロッキングブロックは、形状・大きさ・色・質感が多様で、耐久性、美観、コスト効率の高さから都市インフラや住宅用途で広く使用されています。デザインや模様を自由にカスタマイズできることも、公共空間や民間空間の双方で人気を集める理由の一つです。

これらのブロックは、輸送コストを抑えるために顧客の近くに設置された工場で生産されます。製造には最大で3日を要し、熟練労働力と多大なエネルギーコストが必要です。欠陥発生率は通常1〜2%程度です。

課題

インターロッキングブロックの品質検査は通常、人間の作業者が目視によって行います。作業者は、表面に生じた粘土塊、ひび割れ、欠けなどの欠陥、あるいはボード上のブロック不足や異物の有無を確認します。

しかし、この方法はコストが高いだけでなく、作業者やシフト、生産ライン、工場ごとに一貫性が欠けています。特に大きな欠陥がある場合には、小さな欠陥が見逃されやすくなります。さらに、シフト間で基準が異なることや、目視作業による疲労の蓄積によって、検査精度は時間の経過とともに低下します。

品質への要求が高まる中、米国の大手インターロッキングブロックメーカーは、生産スピードに追随し、主観的なばらつきを排除し、欠陥の検出・分類を行い、既存システムとのシームレスな統合を実現できる検査ソリューションを必要としていました。加えて、このソリューションは複数拠点に展開可能であり、かつ費用対効果に優れている必要がありました。

手作業による検査のばらつきに直面した米国の大手インターロッキングブロックメーカーは、客観的かつ信頼性の高い結果を提供しつつ、費用対効果に優れ、拡張性のあるソリューションを求めていました。

解決策

これらの課題に対応するため、同メーカーはAIソリューションを提供するAccella AI(カリフォルニア州サニーベール)と提携し、実際の製造現場向けに設計されたビジョンベースAIシステム「Accella MFG Bot™」を用いた概念実証に取り組みました。

このシステムはラインの乾燥工程側に設置され、高解像度のLUCID Triton® 3.2 MPカラー カメラと、欠陥をリアルタイムで検出・分類できるように訓練されたディープラーニングモデルを組み合わせています。Tritonカメラは、ソニー製IMX265 CMOSセンサーを搭載し、Factory Tough®設計によるIP67保護、Power over Ethernet(PoE+)、M12/M8イーサネットコネクタを備えた、厳しい産業環境に適した製品です。

検査プロセスは次のように行われます。生産ラインのPLCによってトリガーを受けた頭上設置のTritonカメラが、ラインを流れるブロックのボードを1枚ずつ撮像します。まずAIがボード上の各ブロックを識別し、その後、欠陥の有無を判定します。判定結果はオペレーター用モニターに表示され、不良と判定されたブロックはハイライトされ、オペレーターが生産から取り除けるようになっています。

Tritonのコンパクトなカメラのサイズ

このシステムは、高解像度のLUCID Triton 3.2 MPカラー カメラと、欠陥をリアルタイムで検出・分類できるよう訓練されたディープラーニングモデルを組み合わせています。

AIモデルは短期間で欠陥検出に必要な精度を達成し、通常運転中の継続的な学習により最大99%の精度を実現できます。1枚のボードに対する検査時間は1秒未満に収まり、将来的には色や高さの測定といった追加機能を導入できる余地も残されています。このシステムはすべてのボードを処理し、不良ブロックを個別に識別して表示します。さらに、作業者の対応状況を監視し、欠陥が処理されたか、またどの程度の速さで対応されたかを把握することも可能です。

検査準備が整ったインターロッキングブロック

Accella AIビジョンシステムによるインターロッキングブロックの欠陥検出

このソリューションの特長は、スピードや精度だけでなく、その一貫性にあります。人間の検査員と異なり、AIはシフトや周辺状況に左右されることなく、すべての製品に同じ品質基準を適用します。また、新しいデータへの適応が速く、例外的なケースから学習し、複雑な再プログラミングを行うことなく検出モデルを更新できます。さらに、PLCとの統合もシームレスであり、導入段階でMESやERPシステムとの接続にも対応できる設計となっています。

市販の低価格なハードウェアとモジュール式ソフトウェアを活用することで、このソリューションは費用対効果に優れ、かつ拡張性があります。オペレーターによる特別な操作を必要とせず、最小限の再設定で他の工程や施設へも容易に展開可能です。

結論

この概念実証により、LUCIDカメラを用いたAIベースの外観検査が実現可能であるだけでなく、インターロッキングブロック製造において非常に効果的であることが示されました。検査速度、信頼性、一貫性の面で手作業による検査を上回り、さらに作業者の行動や工程効率に関する有用な知見も提供します。

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Accella AI
Triton® カメラ製品ページ